三島会社の扱い
〜関門海峡の扱いを含めて〜

新神戸の計算結果を覚えていますか?

さて、このマニュアルの冒頭のほうで、「新神戸→宇和島」の計算をしました。

路線図

計算結果は以下のようになるのでした。

計算結果

ここでは、「JR線営業キロ」「運賃計算キロ」の下に、 「JR四国」の営業キロ・運賃計算キロとあります。これは何でしょうか。

時刻表の巻末のピンクのページを開いていただければわかりますが、JRの運賃は 「JR東日本・東海・西日本」、JR北海道、四国、九州でそれぞれキロ単価が違います。 これは何かというと、後者(通称「三島会社」)は前者(通称「本州三社」) と比べて経営が厳しく、運賃も割増のものがかなり前に認可されているので、 その割増運賃の計算に使うためです。

実際、本州三社は完全民営化・株式上場を果たしましたが、 三島会社は国鉄民営化法の適用対象のままで、経営も青息吐息というのが本音です。 JR北海道・九州は新幹線(建設中のものを含む)と観光資源があるのでそれなりに頑張っているようですが、JR四国はかなり厳しいようです。

話が逸れました。MARSではもちろん、この運賃の違いと、 それに伴う複雑な運賃計算制度に完全対応しています。 この例だと、上段の運賃計算キロ455.2kmから本州三社の運賃表を索いて7340円、 これに加えて、JR四国の運賃計算キロ284.0kmを加算額表で索いて260円、 合計7600円となります。

もちろん、「函館→宇和島」のような長距離切符(新幹線でも丸一昼夜かかります; 途中下車の予定がなければ羽田空港経由をおすすめします^^; )の場合は、 JR北海道の加算額表とJR四国の加算額表を両方ひくことになります。

九州だと…

飛行機で博多にやってきました。 福岡空港からは博多駅まで地下鉄一本なので便利です。 これから取引先のある小倉に向かいます。

路線図

まずは新幹線の運賃を計算…

博多→小倉 新幹線経由

1140円。でもたったの67kmだし、特急券がもったいない。では、在来線は。

在来線経由

1290円。ここには「JR九州営業キロ」とあります。先ほどはありませんでした。 これは、並行路線であるはずの小倉〜博多間が、 新幹線はJR西日本なので安いキロ単価、 在来線はJR九州なので高いキロ単価となるからです。 まあ、特急料金が浮くぶんに比べれば微々たるものですが。

…新幹線は在来線より割高だというイメージがありますが、 特急券を除いた乗車券部分だけで見ると、実は新幹線のほうが安いのです。 なんだか不思議ですね。

ちなみに、いま建設中の北海道新幹線では、 新青森以北がJR北海道の運営になる予定です。

幹在同一視と往復割引はどうなる?

この違いが生じる新下関〜博多間はもともと、 「新幹線」と「並行在来線」つまり同じ路線という扱いでした。 ところが、今は新幹線と在来線とでは、キロ数は同じままですが運賃が違います。 無条件で同じ線として扱うわけにはいかなくなりました。

そこでややこしい問題が生じます。 たとえば大阪市内から博多まで、往路は朝一番の新幹線で出発し、 復路は在来線で途中下車を楽しみながら旅行したいという場合、 往復割引はどうなるのでしょうか。 キロ数は新幹線・在来線とも618.5km、往復割引の要件は満たしているはずです。

結論から言うと、この場合でも往復割引は適用されます。 ただし、単純に経路を入力するだけではダメで、ちょっとした手間が必要です。

まず、下記のように往路の経路を入力し、計算結果を「メモリ1」に保存します。

新大阪→博多 新幹線経由

次に、復路の経路を入力し、計算結果を「メモリ2」に保存します。 在来線では、神戸→大阪間は「山陽本線」ではなく「東海道本線」となるのでした。

博多→新大阪 在来線経由

そのあとメモリ一覧を開いてこの2つを「合算」すると、 下のほうに結果が出力されます。

大阪市内⇔福岡市内 幹在別利用でも往復割引

この最後の行の「幹在別線往復運賃:大人17420円 小児8710円 学割13930円」 というのが、求めたかった往復運賃です。

なお、往路の新岩国→徳山間、復路の櫛ヶ浜→岩国間は、 新幹線や山陽本線を使った場合でも、この区間の内陸部をショートカットする岩徳線(がんとくせん)のキロ数で計算することになっています。 ちょうど、以前に説明した品川〜鶴見間と同様の扱いです。

この区間では、いま山陽本線を名乗っているルート(柳井線) と現在の岩徳線との間で山陽本線の「本家争い」がかつてありました。 長い柳井線の後を追って短い岩徳線が開業し、 一時は岩徳線が山陽路のメインルートになりましたが、 そのあと山陽本線を複線化しようという段階になると、 トンネル増設が必要になる岩徳線は嫌われ、 平坦で工事の容易な柳井線が再度メインルートに返り咲きました。 さらにその後、戦後に山陽路を電化する際にも柳井線が優先され、 電化対象から外れた岩徳線はローカル線という扱いになって、今に至ります。 (参考:Wikipedia「岩徳線」

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